ゲームに関するエトセトラ 〈その6:ボードゲーム関連で生計を立てるには!?〉

つれづれ

ボードゲームブームと最近言われていますが、確かにプレイスペースなんかも全国に増えてきて、毎年東京と大阪で合計3回も開催される「ゲームマーケット」にも、入場者だけでなく出店者も増えてきているようです。

特に、ゲームを遊ぶ楽しみだけでなく表現手段として自作するって人が増えてきているのは格段の進化かと思います。

海外ではエッセンやシュピーレ、オリジンやGEN-CONなど開催されていますが、日本のコミックマーケットのように企業以外の個人が沢山出店し、自作のゲームを販売展示する形態の催しであるゲームマーケットは世界的に見ても珍しいんじゃないでしょうか? こういう独自の文化的な発展が海外からの来場者を増やすきっかけになっているんだと思います。

私は、アークライトが主催する前からの「ゲームマーケット」に出店していたこともあり、ここまで大きくなったことについて驚きを隠せませんが、ボードゲームを扱う「市場」というものが大きくなってきた割に、ゲーム関係で将来ご飯を食べていけるか? といえば、それは絶望的にかなり難しいと考えています。

もちろん、諦めているわけではなく、かなりニッチなホビーであることは事実だと思うので、まだまだカルチャーとして定着していない現状、これからなだと思いたいですが……。

私がゲームデザイナーを夢見て将来ボードゲーム(ウォーシミュレーションゲーム)に携わる仕事につき、生計を立てたいと思ったのが10歳の頃でした。幸運なことに、今は曲がりなりにもその仕事に携わっている訳です。ただし、サラリーマンとしてやっているに過ぎませんが。

ボードゲームの販売、制作などなど、このジャンル単体で生計を立てられるだけのビジネスにするのは、今の所は正直難しいと感じています。実際に日本国内のメーカーを眺めてみると、ボードゲームが一部所に過ぎないという会社が全てですしね。まぁ、成り立つモデルを編み出せばいいわけですが。

先にお話した、ボードゲームカフェやプレイスペースの事業が成功しているじゃないか、とおっしゃる人がいるかも知れません。確かに、そういう空間が多くの人に利用されて実際に商売として成り立っているのは事実ですが、今のままだと正直危ないと思っています。というか今でもかなり赤色に近い黄色信号だと思っています。

現状、プレイスペースは飽和状態になってきており、近い将来に淘汰されていく時代が訪れます。例えが悪いかもしれませんが、限られた一定数しかいないプレイ人口に対して、これまで母数が小さく成り立ってきたこの手の商売が、プレイスペースを増やすことで利益を細かく分配する結果になっているわけで、いわゆる「田分け者」の状態が続いているかと思うのです。

実際、ひっそりと店を閉めていく話もよく耳にしますしね。自分たちがよく顔を出すお店が突然閉まれば、プレイする空間がひとつ失われるわけで、そのタイミングでゲームから離れていく人もいると思います。一つ辞めだすと何故か連鎖的にバタバタと倒れるもので、それが怖いのもあります。

アナログのゲームファンが増える構造は「接触感染」が大多数です。誰かから誘われたり、人から教えられて遊び始めたり、人とのつながりが趣味を続けていく動機付けになるが大きいわけです。なので、そういうスペースが目に見えて消えるということは、実は大事件でして、例示が1つや2つでも危機感を感じなくてはならないと考えます。

これはウォーシミュレーションゲームやTRPGというジャンルのゲームをプレイしていた私ならではの感覚かもしれませんが、何度か「冬の時代」を乗り越えてきただけに、どん底からプレイ人口を維持して増やすことはなかなか難しいことなのです。

だから、ブームを一過性のものにせず長く続ける努力が必要かと考えます。

そこで一つ考えたのが、都道府県単位の地域限定で構いません。プレイスペース全てを掲載したフリーペーパーを作りたいと考えています

これは業界紙を作るという意味合いも含めてなのですが、他の店舗の情報を紙面でまとめて目にすることができれば、同業他者に役立つ情報を発信できお互いの情報交換になると思うのです。もちろん、お客さんにとっても情報誌としての役割を果たしますから、win-winになると思うのです。

そのフリーペーパーはその地域の全てのプレイスペースに設置するのが基本ですが、多分、「何故、同業他者の利になることをわざわざせにゃならんのだ!?」という人もいるかも知れません。

そうじゃないんですよ。

プレイ人口を維持するためにも、存在するプレイスペースの位置情報を流すことでプレイヤーネットワークを維持確保することができることは大きいですし、店舗同士が横のつながりを持つことは長い目で見れば利益に繋がります。

スペースが満席である場合、最寄りの店舗に連絡を取ったりすることも可能ですし、狭い業界(業界といえるものではありませんが)お互いに情報を交換しあって生きていくことが自分たちを守る力になるんじゃないかと思うのです。

あとは資金繰りとお互いが得をする形を作り、さらにそれを作る側がちゃんと生計を立てられるような利益を上げられるシステムを作れば「ボードゲームに関わる仕事を生業にする」という前提条件もクリアできます。あるいは、このフリーペーパーをきっかけに新たらしい形のプレイスペースを作ってみよう! と思えるアイデアも浮かぶかもしれませんしね。

実は、上記のモデルは既に構築済みでして、あとはこれを20年後、30年後と安定して継続できるか? という問題をクリアするのみなのです。トラブル時を乗り越える蓄えを作る方法を考える、ってことなのですが。

考えるだけならばタダ。それを実行するにはそれなりの行動力が。計画を進めるには少しの勇気と少しの努力が。実行に移すだけの行動が伴えばいつだってスタートは来れる状況です。

夢を持ってゲームを作っている方々がたくさんいる中、その良さを伝えられないことや何をすればわからない人もいると思うのです。だからこそ、私が何かの役に立つことを発信できればいいのですがね。少なからず、仕事でこの世界に20年近くいる身としては、できないはずはないと思っています。

2019/5/15

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